引き継ぎの進め方|資料の作り方と期間
- 引き継ぎは「業務一覧 → 資料 → 説明 → 後任が一人でやる」の4段階。最後の段階まで終えて完了とする
- 期間は業務ごとに見積もって足し上げる。最終出社日から逆算し、退職を伝える前に概算を出しておく
- 資料は「何を・いつ・どこで・誰と・困ったときは」の5項目で、後任が自分を探さなくて済む形にする
引き継ぎは4段階で進める
引き継ぎは、資料を渡した時点では終わっていません。後任が一人で業務を回せるようになって初めて終わります。次の4段階で進めます。
- 業務一覧を作る:担当業務をすべて書き出し、頻度と重要度をつける
- 資料にする:業務ごとに手順・関係者・保存場所をまとめる
- 説明する:資料をもとに後任に説明し、一緒に実際の作業をする
- 後任が一人でやってみる:自分が横で見ている状態で、後任が一人で作業する
3と4の段階を最終出社日の前に終えておくと、退職後に問い合わせが来ることが減ります。
業務一覧の作り方
まず担当業務を漏れなく書き出します。記憶だけに頼らず、次のものを見返します。
- 過去3か月分の予定表(定例会議、締め日、報告の期日)
- 送信済みメールとチャットの履歴(定期的なやり取りの相手)
- 共有フォルダの自分が作ったファイル
- 年1回・半期に1回など、頻度の低い業務(決算、更新手続き、イベントなど)
書き出したら、表にまとめます。
| 業務 | 頻度 | 重要度 | 関係者 | 引き継ぎ先 | 必要日数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月次売上レポート作成 | 毎月5営業日目 | 高 | 営業部長、経理 | ◯◯さん | 3日 |
| 取引先A社の定例会 | 隔週 | 高 | A社◯◯様 | ◯◯さん | 2日(同席2回) |
| 備品発注 | 随時 | 低 | 総務 | ◯◯さん | 0.5日 |
頻度の低い業務は、在職中に実際の作業を見せる機会がありません。その分、資料を厚くします。
期間の見積もり方
必要日数は、業務ごとに「資料作成」「説明」「後任が一人でやる」の3つにかかる日数を足して出します。毎月の業務なら、後任が一人でやる段階を1回は在職中に入れられるかがポイントです。締め日の関係で1か月待たないと実作業がない業務は、それだけで引き継ぎ期間が延びます。
全業務の日数を足したら、通常業務と並行する分の余裕を加えます。この合計を最終出社日から逆算した日が、引き継ぎの開始日です。有給休暇を最終出社日の後に使う場合は、休暇期間を引き継ぎに含めずに計算します(退職前の有給休暇の消化)。
退職を伝える面談の前にこの概算を出しておくと、「最終出社日は◯日、引き継ぎはこの日程で終わります」と具体的に話せます。全体の逆算は退職日の決め方|内定から逆算するスケジュールを参照してください。
引き継ぎ資料のひな形
資料は業務1つにつき1枚を基本にし、後任が自分を探さずに済む情報をそろえます。
【業務名】月次売上レポート作成
■ 何を:各店舗の売上を集計し、前年同月比をつけて営業部長に提出する
■ いつ:毎月5営業日目の17時まで(祝日を含む月は前倒し)
■ どこで:共有フォルダ「営業/月次レポート/」のテンプレートを使用。元データは販売管理システムの「月次集計」画面から出力
■ 誰と:提出先は営業部長。数字の確認は経理の◯◯さん
■ 手順:
- 前月分のデータを出力する
- テンプレートに貼り付ける
- 前年同月比が±20%を超えた店舗は理由を店長に確認する
- PDFにして営業部長にメールで送る
■ 困ったときは:システムが止まった場合は情報システム部の窓口に連絡。過去の対応はフォルダ内「トラブル記録」を参照
■ 注意点:3月と9月は決算用に経理へも同時提出
パスワードやアカウント情報は資料に書かず、会社の手順に従って管理者経由で引き継ぎます。
後任が決まらないとき・取引先へのあいさつ
後任が決まらないとき
後任が決まらないまま最終出社日が近づく場合は、上司に「業務ごとの暫定の担当者」を決めてもらいます。資料は上司と共有フォルダに渡し、「誰に何を渡したか」を一覧にしてメールで残します。
後任が決まらないことを理由に退職日を延ばすよう求められることがありますが、期間の定めのない雇用では、民法627条1項により申入れの日から2週間を経過すると雇用は終了すると定められています。できる範囲の引き継ぎを尽くしたうえで、予定どおり退職する形で話し合います。引き止めへの対応は退職の引き止めへの対応にまとめています。
取引先へのあいさつ
社外への退職の公表時期は、上司と相談して決めます。可能であれば後任と一緒に訪問またはオンラインで顔合わせをし、その後メールで連絡します。
件名:担当者変更のご挨拶(株式会社◯◯ ◯◯)
いつも大変お世話になっております。
私事で恐縮ですが、◯月◯日をもちまして退職することとなりました。
今後は、同じ部署の◯◯が担当いたします。◯◯には業務の内容を十分に引き継いでおりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
在任中のご厚情に心より御礼申し上げます。
転職先の社名はあいさつで伝える必要はありません。
- 業務一覧に頻度の低い業務まで入っている
- 業務ごとに「何を・いつ・どこで・誰と・困ったときは」がそろっている
- 後任が一人で作業する段階を在職中に1回は入れた
- パスワード類は資料に書かず、会社の手順で引き継いだ
- 誰に何を渡したかをメールで上司に残した
次にやること
- 予定表とメール履歴を見返して、担当業務の一覧を作る
- 業務ごとに必要日数を見積もり、最終出社日から引き継ぎ開始日を逆算する
- 退職を伝える面談に、業務一覧と引き継ぎ日程案を持っていく
- 業務1つにつき1枚の資料を作り、後任と一緒に実作業をする
- 最終出社日に返す物と受け取る書類を退職時に受け取る書類・返す物で確認する