退職の伝え方|誰に・いつ・何と言うか
- 最初に伝える相手は直属の上司。同僚や人事、取引先より先に話す
- 伝えるのは内定承諾(労働条件の確認)が済んでから。就業規則の申出期限を必ず確認する
- 「相談」ではなく「退職することに決めた」という報告の形で、退職希望日まで一度に伝える
最初に伝えるのは直属の上司
退職の意思は、直属の上司に最初に伝えます。上司を飛ばして人事や上司の上長に先に話すと、上司の立場がなくなり、その後の引き継ぎや退職日の調整がこじれやすくなります。
同僚や仲の良い先輩に先に話すのも避けます。話が上司の耳に先に入ると「なぜ自分に最初に言わなかったのか」という感情の問題が生まれ、本来は事務的に進められる話が長引きます。
例外は、上司本人からハラスメントを受けている場合です。その場合は上司の上長か人事に直接伝えて構いません。社内で話ができない状況なら、厚生労働省の総合労働相談コーナー(予約不要・無料)に先に相談しておくと、進め方の選択肢が整理できます。
いつ伝えるか|内定承諾の後、申出期限の前
伝えるタイミングは次の順番で決めます。
- 転職先の内定を受け、労働条件通知書で条件を確認して承諾した
- 転職先の入社日が決まった(または候補日が絞れた)
- 今の会社の就業規則で「退職の申出は何日前までか」を確認した
内定が出る前に退職を伝えると、選考が長引いたときに収入の空白ができます。条件の確認方法は内定後に労働条件通知書で確認することを参照してください。
法律上の期限と就業規則の期限
期間の定めのない雇用(いわゆる正社員の無期雇用)は、民法627条1項で「いつでも解約の申入れをすることができる」とされ、申入れの日から2週間を経過すると雇用が終了すると定められています。
一方、会社によっては就業規則で「退職希望日の1か月前までに申し出る」などの期限を定めています。常時10人以上の労働者を使用する会社は、退職に関する事項を含む就業規則を作成して届け出ることが労働基準法89条で義務づけられています。社内規程集や社内ポータルで確認し、見当たらなければ人事担当者に聞きます。
実務では、法律上の2週間ではなく就業規則の期限と引き継ぎに必要な期間の長い方を基準にすると、揉めずに退職日を決められます。逆算の方法は退職日の決め方|内定から逆算するスケジュールで詳しく扱っています。
契約社員など期間の定めのある雇用は、民法627条ではなく628条(やむを得ない事由による解除)などが関係し、考え方が異なります。契約期間の途中で辞めたい場合は、契約書を確認したうえで、個別の判断は労働局の相談窓口や弁護士に確認してください。
どう伝えるか|対面で、時間をもらってから
伝える場所は、他の人に聞こえない会議室などが基本です。リモート勤務ならビデオ通話で構いません。チャットやメールだけで済ませるのは避け、先に「話す時間」を確保します。
(チャットで)
お疲れさまです。ご相談というより、ご報告したいことがあります。本日か明日、15分ほどお時間をいただけますでしょうか。個別にお話しできると助かります。
時間をもらったら、最初の一言で結論を伝えます。前置きが長いと「相談」と受け取られ、引き止めの話になりやすくなります。
お時間をいただきありがとうございます。一身上の都合で、退職することに決めました。退職日は◯月◯日を希望しています。引き継ぎは責任を持って行いますので、進め方をご相談させてください。
退職理由はどこまで話すか
退職理由は「一身上の都合」で足ります。聞かれた場合は、会社への不満ではなく「やりたいことができる環境に移る」という前向きな内容を一つだけ伝えます。不満を並べると「それを改善するから残ってほしい」という引き止めの材料になります。
転職先の社名は、言う義務はありません。聞かれたら「入社までは控えさせてください」で十分です。
伝える前に準備しておくこと
- 就業規則の退職申出期限と、退職届の提出先・様式
- 転職先の入社日(または入社可能日の幅)
- 退職希望日と最終出社日の案(有給休暇を使うなら両方)
- 有給休暇の残日数(給与明細や勤怠システムで確認)
- 自分の担当業務の一覧(引き継ぎの相談にすぐ入れるように)
有給休暇の残りをどう使うかは、退職日を決める話と一体です。退職前の有給休暇の消化も先に読んでおくと、上司との話し合いで退職日と最終出社日を分けて提案できます。
伝えた後に決めること
上司に伝えた後、次の順で具体化します。
- 退職日と最終出社日の合意
- 退職届の提出(会社の様式があればそれを使う)
- 社内・社外への公表のタイミング(上司と相談して決める)
- 引き継ぎ計画の作成
引き止めにあった場合の答え方は退職の引き止めへの対応、書面の書き方は退職届と退職願の違いと書き方にまとめています。
次にやること
- 就業規則を開き、退職の申出期限と退職届の様式を確認する
- 有給休暇の残日数を確認し、退職希望日と最終出社日の案を2つ作る
- 直属の上司に「15分ほど時間をください」と連絡を入れる
- 話す当日は、最初の一言で「退職することに決めた」と結論を伝える
- 伝えた内容と日付をメモに残しておく