比較表
お金と制度

年収が下がる転職を受けるかの判断基準

最終更新 2026-09-23 | 転職えらび編集部

先に3行で
  • 年収が下がる提示は「額面」ではなく「時間あたりの賃金」「手取り」「3〜5年後の見込み」で比べる。
  • 住民税は前年の所得にかかるため、年収が下がった直後の年は負担感が大きくなる。生活費は余裕をもって見積もる。
  • 失業保険の再就職手当を受けた人は、再就職後の賃金が下がると「就業促進定着手当」を受けられる場合がある。

「やりたい仕事だが年収が下がる」「働き方は良くなるが額面が減る」という内定は珍しくありません。受けるかどうかに一律の正解はありませんが、判断に使う物差しははっきりさせられます。この記事では、比べ方と、年収が下がったときに知っておきたい制度を整理します(2026年9月時点)。

額面ではなく「時間あたり」で比べる

まず、現職と内定先の年収を同じ条件にそろえて比べます。

比べる項目見方
年間の総労働時間所定労働時間+実際の残業時間。年間休日も確認
時間あたりの賃金年収 ÷ 年間の総労働時間
賃金の内訳基本給、固定残業代、手当、賞与(業績連動か)
通勤時間往復時間も「拘束時間」として加える

残業代で年収が膨らんでいる職場から、残業の少ない職場へ移る場合、額面は下がっても時間あたりの賃金は変わらない、または上がることがあります。逆に、提示額に固定残業代が多く含まれている場合は、額面が同じでも実質の条件は下がります。固定残業代の見方は内定後に労働条件通知書で確認することで解説しています。

手取りと生活費で確かめる

額面から社会保険料と所得税・住民税を引いたものが手取りです。生活できるかどうかは手取りで判断します。

特に注意したいのが住民税の時間差です。住民税は前年1〜12月の所得に対してかかり、会社員は6月から翌年5月まで給与から天引きされます(総務省「個人住民税」地方税法第321条の5、2026年9月時点)。年収が下がった最初の年は、高かった前年の所得で計算された住民税を、下がった給与から払うことになります。詳しくは退職と住民税を参照してください。

確認リスト
  • 内定先の月給から、概算の手取りを出したか(転職先の人事やエージェントに概算を聞いてもよい)
  • 住宅費・教育費・ローンなど固定費を手取りで賄えるか
  • 前年の所得に基づく住民税の天引きが続く期間を考えたか
  • 賞与が業績連動の場合、ゼロでも生活できるか

将来の見込みで比べる

今の年収差だけでなく、3〜5年後にどうなるかも比べます。面接や内定後の面談で、次の点を質問しましょう。

  • 評価の時期と回数、昇給の決まり方
  • 同じ職種で入社した人のキャリアの例(役職に就くまでの年数など)
  • 賞与の算定方法と、支給実績(金額ではなく「何か月分の実績があるか」など会社が開示できる範囲で)
  • 資格手当や職務手当など、条件を満たすと増える手当

昇給や賞与の定めは、会社に定めがある場合、労働条件として明示される事項です(労働基準法施行規則第5条)。口頭の「頑張れば上がる」ではなく、規程や書面で確認できる内容で判断してください。

年収以外に得られるものを書き出す

年収が下がっても受ける価値があるかは、得られるものを具体的に書き出すと判断しやすくなります。

得られるもの
経験・スキル未経験職種への挑戦、マネジメント経験
働き方残業の減少、リモート、転勤なし
健康・家庭通勤時間の短縮、休日の確保
将来の年収市場価値の高い経験が積める

「得られるもの」が曖昧なまま年収だけ下がる転職は、後悔につながりやすいパターンです。よくある失敗は転職で失敗する7つのパターンにまとめています。

判断の手順

材料がそろったら、次の順番で結論を出します。

  1. 下限ラインを確認する:手取りが生活費と住民税の天引きを下回らないか。下回るなら、交渉で上げられない限り見送る
  2. 時間あたりの賃金を比べる:額面が下がっても時間あたりで同等以上なら、実質的な条件は悪くない
  3. 3〜5年後を比べる:昇給の仕組みと、得られる経験が将来の年収につながるか
  4. 家族と共有する:家計に関わる判断なので、数字を見せて合意をとる

どこかで「わからない」が残るなら、承諾前に会社へ質問して埋めます。わからないまま承諾すると、入社後に「思っていたのと違う」となりやすくなります。

年収が下がったときの雇用保険の手当

退職して雇用保険の基本手当を受けていた人が早めに再就職し、再就職手当を受けた場合、再就職先に6か月以上雇用され、その6か月間の賃金の1日分が離職前の賃金日額より低ければ「就業促進定着手当」を受けられます(ハローワーク「就職促進給付」、2026年9月時点)。

  • 支給額:(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 6か月間の賃金支払の基礎となった日数
  • 上限額:基本手当日額 × 再就職手当を受ける前の支給残日数 × 20%(計算に使う基本手当日額には上限あり)

在職中に転職先が決まり、失業期間なく移る場合はこの手当の対象になりません。受給の可否や金額は、住所地のハローワークに確認してください。

次にやること

  • 現職と内定先の年収を、年間の総労働時間で割って時間あたりの賃金を比べる
  • 内定先の概算の手取りを出し、固定費と住民税の天引きを差し引いても生活できるか確認する
  • 昇給・賞与・手当の決まり方を質問し、書面で確認する
  • 提示額に納得できなければ、承諾前に交渉する(年収交渉のやり方
  • 就業促進定着手当など雇用保険の給付はハローワーク、税金は税務署・市区町村に個別に確認する