退職後の健康保険・年金の切り替え
- 退職日の翌日から次の入社日まで1日でも空くなら、健康保険と年金の切り替えが必要。
- 健康保険は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養」の3択。任意継続は退職日の翌日から20日以内に申出。
- 国民年金の加入手続きは退職日の翌日から14日以内。払えないときは失業による特例免除を申請する。
会社員の健康保険と厚生年金は、退職した日の翌日に資格がなくなります(日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」、2026年9月時点)。退職の翌日に次の会社へ入社するなら新しい会社が手続きをしてくれますが、間が空くなら自分で切り替えます。この記事では、協会けんぽ・日本年金機構・市区町村の公式情報をもとに手順を整理します(2026年9月時点)。
まず決めること:健康保険の3つの選択肢
退職後の健康保険は次の3つから選びます(協会けんぽ「任意継続」、2026年9月時点)。
| 加入先 | 手続き先 | 条件・期限 | 保険料 |
|---|---|---|---|
| 任意継続(協会けんぽの場合) | 住所地の協会けんぽ支部 | 退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上。退職日の翌日から20日以内に申出 | 退職時の標準報酬月額×保険料率。事業主負担分もなくなるため、原則は在職時の約2倍 |
| 国民健康保険 | 住所地の市区町村 | 資格喪失から14日以内に届出(新宿区の場合) | 世帯の人数や前年の所得などで市区町村ごとに決まる |
| 家族の健康保険(被扶養者) | 家族の勤務先 | 家族が加入する健康保険の扶養条件を満たすこと | 本人の保険料負担なし |
勤め先が協会けんぽではなく健康保険組合の場合、任意継続の条件や保険料は組合ごとに違うので、退職前に人事か健康保険組合へ確認してください。
任意継続のポイント
協会けんぽの任意継続は、加入期間が2年間です。保険料は退職時の標準報酬月額に都道府県ごとの保険料率をかけて計算しますが、標準報酬月額が32万円を超えていた人は32万円で計算されます。40〜64歳は介護保険料が加わります。保険料は原則として2年間変わりません(保険料率の変更などを除く)。
- 申出書は退職日の翌日から20日以内に必着(20日目が土日祝なら翌営業日)
- 納付期限(毎月10日)までに払わないと資格を失う
- 就職して新しい健康保険に入ったら「資格喪失申出書」を出す
- 本人の希望による脱退の申出もできる
任意継続の期間中に新たに発生した病気やけがについては、傷病手当金と出産手当金は支給されません。在職中から継続して受けている場合は引き続き申請できます。
国民健康保険のポイント
国民健康保険の保険料は、世帯単位で、世帯の人数や前年の所得などをもとに計算されます。計算方法は市区町村の条例で決まるため、額はお住まいの地域で違います(厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」、2026年9月時点)。
加入の届出は、職場の健康保険をやめてから14日以内です(新宿区の例。新宿区「国民健康保険の届出について」)。届出が遅れても、保険料は資格が生じた月までさかのぼって納めることになります。
倒産・解雇・雇止めなどで離職し、雇用保険で特定受給資格者または特定理由離職者と認められた人(離職時65歳未満)は、保険料の軽減を受けられる場合があります。新宿区では、本人の前年の給与所得を100分の30として保険料を計算し、軽減期間は離職日の翌日の属する月から翌年度末までです(新宿区「非自発的失業者の国民健康保険料の軽減について」、2026年9月時点)。届出が必要なので、雇用保険受給資格者証を持って窓口へ行きます。
任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、前年の所得、世帯の人数、住んでいる市区町村で変わります。退職前に、市区町村の国保窓口で試算してもらい、協会けんぽの保険料と並べて比べるのが確実です。
国民年金の切り替え
厚生年金に加入していた20歳以上60歳未満の人が退職し、次の会社に入るまで間が空く場合は、国民年金の第1号被保険者になる手続きが必要です(日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」、2026年9月時点)。
- 提出期限:退職日の翌日から14日以内(日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」)
- 窓口:住所地の市区町村の国民年金担当窓口または年金事務所。マイナポータルからの電子申請も可
- 持ち物:基礎年金番号またはマイナンバーがわかる書類、本人確認書類
国民年金保険料は2026年度(2026年4月〜2027年3月)で月額17,920円です(日本年金機構「国民年金保険料」)。
配偶者が厚生年金に加入していて、その扶養に入る場合は第3号被保険者となり、保険料の負担はありません。手続きは配偶者の勤務先を通して行います。
月末退職と月の途中の退職で保険料のかかり方が変わる点は、退職金と退職日のタイミングで説明しています。
保険料が払えないとき
国民年金保険料の納付が難しい場合は、未納のままにせず免除・納付猶予を申請します。退職した場合は「特例免除」が使え、退職した本人の前年所得をゼロとして審査されます。申請には離職票や雇用保険受給資格者証など退職の事実がわかる書類が必要です(日本年金機構「【転職をご検討中の方へ】国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度のご案内」、2026年9月時点)。
免除を受けた期間は将来の老齢基礎年金が少なくなりますが、10年以内なら追納できます。手続きをせずに未納にすると、障害年金や遺族年金を受け取れない場合があります。
次にやること
- 退職前に、会社の健康保険が協会けんぽか健康保険組合かを確認する
- 市区町村の国保窓口で保険料を試算し、任意継続の保険料と比べる
- 退職日の翌日から数えて、任意継続は20日、国民年金は14日の期限をカレンダーに入れる
- 雇用保険の手続きも並行して進める(失業保険(基本手当)の受給条件と手続きの流れ)
- 住民税の支払い方法も確認する(退職と住民税)
- 保険料や免除の個別の判断は、年金事務所・市区町村の窓口・協会けんぽ支部に相談する