在職中と退職後、どちらで転職活動するか
- 原則は在職中。収入が途切れず、条件の合わない内定を断る余裕が残る。
- 退職後に動くのが合うのは、心身の不調や長時間労働で活動の時間がまったく取れない場合など、在職を続けること自体が負担になっている人。
- 退職後に動くなら、失業保険の給付制限、健康保険・年金の切り替え期限を先に確認し、生活費を何か月分確保できるかを数字で出しておく。
結論:迷ったら在職中に動く
在職中と退職後のどちらが正しいという決まりはありません。ただ、判断に迷っているなら在職中を選ぶほうが失敗しにくいです。理由は単純で、在職中なら「転職しない」という選択肢が最後まで残るからです。
退職後は、収入がない期間が長くなるほど「早く決めなければ」という気持ちが強くなり、条件を妥協しやすくなります。在職中なら、内定の条件が希望に合わなければ断って今の仕事を続けられます。
4つの観点で比べる
| 観点 | 在職中 | 退職後 |
|---|---|---|
| 収入 | 給与が続く | 貯蓄や失業保険で生活する期間がある |
| 時間 | 面接の日程調整が難しい | 平日の面接にも対応しやすい |
| 入社時期 | 退職手続きの分だけ先になる | 早い入社に応じやすい |
| 手続き | 退職時にまとめて行う | 健康保険・年金・住民税の切り替えを自分で行う |
選考での見られ方も違います。在職中であれば「なぜ辞めたのか」を深く聞かれることは少なく、「なぜ転職したいのか」を説明すれば足ります。退職後の場合は、退職の理由と、退職してから今までの過ごし方を聞かれると考えておきます。ブランクの説明はブランク期間の説明のしかたで扱っています。
在職中に動くときの注意点
在職中の最大の課題は時間です。次のように先に枠を決めておくと、仕事と両立しやすくなります。
- 面接は「週に2件まで」など上限を決める
- 始業前・昼休み・終業後に入れられるWeb面接を優先する
- 最終面接など対面が必要な選考のために、有給休暇を取る日をあらかじめ確保する
- 日程調整や条件確認は転職エージェントに任せ、自分の作業を減らす
また、社内で転職活動の話をしない、会社のパソコンやメールアドレスを応募に使わない、の2点は徹底してください。
退職後に動くときに先に確認すること
退職後に動く場合、収入が途切れる期間の生活費と、自分で行う手続きを先に確認します。
失業保険(基本手当)の給付制限
雇用保険の基本手当は、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが受給の要件です(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」、2026年9月時点)。
正当な理由のない自己都合で退職した場合は、給付制限期間があります。退職日が2025年4月1日以降の場合は原則1か月です。ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合は3か月になります。また、2025年4月以降に受講を始めた教育訓練等を受けた(受けている)場合は、給付制限が解除される仕組みがあります(厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」、2026年9月時点)。
手続きの流れは失業保険(基本手当)の受給条件と手続きの流れにまとめています。自分が対象になるか、いつから受け取れるかは、住所地を管轄するハローワークで確認してください。
健康保険と年金の切り替え
退職すると会社の健康保険と厚生年金の資格を失うため、次の会社に入るまでの間は自分で切り替えます。
- 健康保険:協会けんぽの任意継続は、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に手続きする必要があります。保険料は事業主負担分もなくなるため、退職時の健康保険料の2倍になります(協会けんぽ「任意継続」、2026年9月時点)。国民健康保険に入る、家族の扶養に入るという選択肢もあります。
- 年金:国民年金の第1号被保険者になる場合は、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口へ届け出ます(日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」、2026年9月時点)。
どれを選ぶと負担が少ないかは人によって違います。比べ方は退職後の健康保険・年金の切り替えを参照してください。住民税は退職後も前年の所得に対して納める必要があり、退職と住民税で扱っています。
どちらを選ぶかの判断基準
- 生活費(家賃・保険料・住民税を含む)を何か月分、貯蓄でまかなえるか
- 今の職場で、面接のための時間を週に数時間でも確保できるか
- 心身の不調など、在職を続けること自体が負担になっていないか
- 退職後に動く場合、いつまでに内定を得るかの期限を決められるか
心身の不調で働き続けるのがつらい場合は、転職活動より先に休むことを優先してください。受診や休職の制度については、勤務先の人事や産業医、医療機関に相談できます。
次にやること
- 毎月の生活費を書き出し、貯蓄で何か月まかなえるかを計算する
- 在職中に動くなら、面接に使える時間帯と有給休暇を取れる日を決める
- 退職後に動くなら、ハローワーク・協会けんぽ(または加入中の健康保険組合)・市区町村の窓口で自分のケースを確認する
- 全体の手順は転職活動の進め方で確認する